余計なお世話は必要?

最近の労働政策は、男女差別を減らし、非正規労働者の待遇を正社員に近づけよう、といったものが目立ちます。 男女差については肉体的な条件や出産のことを考えると、政策でその差を補うことは妥当なことだと思います。 一方、非正規労働者の待遇改善や、有期雇用が5年で無期雇用になれる、といった政策には疑問を感じます。 それぞれの労働条件について政府が介入するような問題なのでしょうか? 

資本主義経済の競争社会に、まるで社会主義のような論理を持ち込まれても、それは企業だけでなく労働者にも大きな混乱を生じさせます。


 例えば、優秀な大学生Aが大変な思いをして就活を勝ち抜き、やっとのことで大企業の正社員として就職したとします。 そして学歴のないフリーターBが、同じ大企業で6か月契約の有期雇用の募集に応募し、履歴書を送って簡単な面接を受けたら、採用するから明日から来て下さい、となりました。 その後半年ごとに契約を更新し、5年経った時点で、Bは希望して無期雇用となりました。

 しかしこれでAとBは同じ待遇の正社員となるのでしょうか? 常識的に考えてもそんなことかあるはずもありません。 企業はこの無期転換ルールを警戒し、契約更新が5年を超えないようにすることでしょう。つまり6か月や半年更新でも有期雇用で働きたかった人たちまで、5年で切られる恐れが高まったことになります。 

しかも有期雇用が無期雇用になれたとしても、それは単に雇用期間が無期に変わっただけなのであり、いわゆる正社員としての待遇を受けることにはならないのです。 

また一方では無期雇用への転換や正社員としてフルタイムで責任を持って働くことを望まない人たちも多数いるのです。 積極的に派遣登録している人たちもそうであり、同じ企業には長居したくなく、自由な就業形態を望んでいるのだと言えます。 


このように考えていくと、法律で強制的に弱者を引き上げていくことは「余計なお世話」にならないのか、心配になってくるのです。

 有期雇用や非正規と呼ばれる人たちの多くは、自ら選択して学歴やキャリアを積んでこなかった訳であり、幹部社員となるべく選抜された正社員と同じ能力を求められても、それは無理な話なのです。 

もちろん自らの努力でそこから抜け出したい人は、改めて努力しやり直せる仕組みは必要です。 しかしそれには解雇規制を撤廃して雇用を流動化させ、会社を移ることが当たり前な社会になることが必要です。

政策があまりにも「余計なお世話」をし過ぎると、やり直そうとする人たちの芽さえ摘むことになりかねないのです。

CLARITY Coaching

プロコーチ/特定社会保険労務士/行政書士/中村琢也

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